北朝鮮は2023年11月21日に「チョルリマ(千里馬)1型」と呼ばれる新型ロケットを使用し、軍事偵察衛星「マルリギョン(万里鏡)1号」を搭載して、衛星の打ち上げを目的として弾道ミサイル技術を使用して発射しました。この発射は、北朝鮮のトンチャンリ(東倉里)地区から南方向に行われました。発射された物体は複数に分離し、一部は朝鮮半島西方の東シナ海に、もう一部は小笠原諸島の沖ノ鳥島南西約1200キロの太平洋上に落下したとされています 。
北朝鮮自身はこの発射を成功だと主張していますが、日本政府やアメリカ政府は、衛星が地球周回軌道に投入されたという確認はまだなく、この発射が国連安保理決議に違反し、地域の安全保障を不安定化させる可能性があると非難しています 。
日本政府は、この発射による被害は確認されていないものの、北朝鮮による弾道ミサイル発射がこれまでにない高頻度で行われており、日本の安全保障に対する重大かつ差し迫った脅威であるとしています 。
しかし何故発射を繰り返すのか?
北朝鮮が繰り返しミサイル発射を行う理由は複数考えられます。一つの理由は、その能力を試し、強化するためです。これにより、潜在的な侵略者への抑止力としての力を示すことができます。また、他国への脅迫や恫喝によって、経済援助や安全保障の保証などの譲歩を引き出そうとすることもあります。北朝鮮は、信頼できる核抑止力を持つことが政権の存続と保護に役立つと考えている可能性があります 。
北朝鮮のミサイル試験は、軍事能力の開発を超えたいくつかの目的を果たしています。新技術の試験、他国への力の誇示、そして自国の軍事要員が武器を使用できる状態を維持することが含まれます。これらの試験を行うことで、北朝鮮は潜在的な侵略者に対する強力な抑止力を維持しています 。
2023年において、北朝鮮はスパイ衛星を軌道に乗せるためのロケットを発射する計画を日本に通知しました。これは、同年に2度の失敗に続く3度目の試みでした。また、北朝鮮は1998年から宇宙プログラムを開始し、長距離ミサイルの開発を進めてきました。2023年3月には、最大のミサイルであるファソン-17 ICBMを試射しましたが、このミサイルは宇宙打ち上げ用の技術を取り入れていると一部の分析家は考えています 。
2023年5月、北朝鮮は偵察衛星を打ち上げようと試みましたが、ロケットは海に落下し、7月に韓国軍はその残骸を回収しました。回収された衛星は軍事的な偵察プラットフォームとしての意味のある使用がないことが判明しました。その後、8月に2度目の試みがありましたが、ロケットブースターに問題が発生し失敗しました 。
これらの試みは、北朝鮮がミサイルと衛星技術の開発を通じて、国際社会に対してその技術力と軍事的な能力を示すことを目的としていることを示しています。北朝鮮は、これらの技術を軍事的な抑止力として活用することで、国際社会に対する自国の立場を強化し、政権の安定を図ろうとしていると考えられます 。